香水の原料のバラ・カザンリクが開花しました
2023/05/01
季緑園-四季の庭-で生育中の香水のバラ・カザンリクが開花しました。
バラ・カザンリクの特徴・性質・歴史と実際に庭で育てた感想です。
バラ・カザンリクの特徴と性質
カザンリク(別名 ロサ・ダマスケナ・トリギンティペタラ Rosa damascena Trigintipetala)は、香水や精油の原料として世界的に知られる香水のバラです。特にブルガリアのカザンリクの谷で育てられるカザンリクは、高品質なローズオイルの原料として有名です。この品種は香りの強さで知られるものの、環境や管理によって香りの強さが変わることがあります。花が咲いて無い時期のカザンリクの柔らかい風に揺れる枝や淡い美しい緑葉も癒しを与えてくれます。枝に細かな棘が多い点では、管理が難しく剪定の時には園芸用の厚手のグローブが必須です。
香り:ダマスク香(濃厚で甘く、フルーティーかつスパイシーな香り)
他の香り高いバラと比べて香りの濃度が非常に高く、香料としての持続性が抜群です。
樹形:半つる性(シュラブ)で、フェンスやアーチに仕立てやすい。
花の特徴:柔らかなピンク色の半八重咲き。花びらが薄く繊細。
耐寒性・耐暑性:寒さや暑さに強いが、高温多湿には注意が必要。
開花時期:主に5月(一季咲き)。
バラ・カザンリクの歴史と背景
カザンリクのバラは、16世紀頃にブルガリアに持ち込まれ、その後400年以上にわたってカザンリクの谷で栽培されている歴史の長いバラの品種です。この地域は、朝露が降りる湿潤な気候と肥沃な土壌がバラの栽培に最適であり、ブルガリアは世界最大のローズオイル生産国となっています。
ローズオイルの価値:カザンリクのバラから抽出されるローズオイル(アター・ローズオイル)は、1kgを作るのに3,500~5,000kgの花びらが必要とされ、「液体の黄金」と呼ばれるほど高価です。
バラ・カザンリクが香水として選ばれる理由
香り高いバラは多いものの、カザンリクが香水用として選ばれる理由は
揮発性と持続性:香りが長時間続き、他の成分と調和しやすい。
香りの複雑性:フルーティー、スパイシー、甘さが調和し、多層的な香りを持つ。
精油の収量:少量で濃厚な香りが得られるため、香水産業に適している。
バラ・カザンリクを使用した製品
ブルガリ(Bvlgari):「ローズ・エッセンシャル」など、カザンリクのローズオイルを基調とした香水を展開。
ロクシタン(L’Occitane):ローズをテーマにした化粧品やアロマ商品にカザンリクのエッセンスを使用。
ブルガリアのローズウォーター:食品、医薬品、化粧品用として世界中で利用されています。
1年を通じたバラ・カザンリクの管理方法について
1. 植え付けと適した環境
植え付け時期:12月~3月(寒冷地では凍結のリスクを避ける)
植え場所:日当たりと風通しが良く、適度に湿度を保てる場所が理想。
土壌:水はけの良い弱酸性土壌(pH6.0~6.5)。土壌改良剤を混ぜ込むと良い。
植え方
植穴を深さ30cm、直径40cmほど掘る。堆肥や腐葉土を混ぜ込んで排水性を向上させる。
根を広げて植え付け、株元にマルチングを施す。
2. 水やり
春(芽吹き期):新芽が出始めたら、土の乾燥具合を見て週1~2回。
夏(成長期):朝または夕方にたっぷりと水を与える。地表が乾燥しやすいので注意。
秋(花後):控えめにしつつ、土が完全に乾かない程度を維持。
冬(休眠期):水やりは最低限に。
3. 肥料
施肥時期:2月、6月、9月が最適。
肥料の種類:バラ専用肥料、有機肥料(骨粉、堆肥など)。
2月:芽吹きを促進するため、窒素を多く含む肥料。
6月:リン酸を多く含む肥料で開花をサポート。
9月:カリウムを多く含む肥料で冬越しを強化。
4. 剪定
冬剪定(1~2月):古い枝や枯れ枝を取り除き、全体の形を整える。棘が多いので園芸用グローブが必須。
夏剪定(花後):咲き終わった花を早めに切り取ることで次の成長を促す。
5. 病害虫対策
病気:黒点病、うどんこ病、灰色かび病が発生することがある。
バラ専用殺菌剤を休眠期にも散布することで予防。
定期的な殺菌剤の散布(春・梅雨前)。
害虫:アブラムシ、コガネムシ(幼虫・成虫)ハダニ、カミキリムシなど。
見つけ次第手で取り除くか、早めに殺虫剤を散布。
バラ・カザンリクの楽しみ方とおすすめの管理
庭での観賞:フェンスやアーチに絡ませて咲かせると、美しい景観が楽しめます。
香料として:摘んだ花びらを乾燥させてポプリやローズウォーターを作る。
入浴剤として:花びらを湯船に浮かべることで、香りと色彩の豊かなバスタイムを演出。
園芸の注意点:棘が多いため、作業時には必ずグローブを着用。剪定時は株の内側に手を入れる際に特に注意。
まとめ
カザンリクのバラは、世界中で香水や精油の原料として愛され、ブルガリアを中心に特別な地位を築いています。お庭で育てているカザンリクのバラやこれからカザンリクのバラを育てようと検討中の方も、独特の香りや美しさを活かしつつ、適切な管理でさらに魅力を引き出すことが可能です。棘が多く扱いにくい部分もありますが、香りや景観の魅力でその手間を補って余りある価値があります。この特別なバラが、庭や生活にさらなる彩りを加えることを願っています。
ゴールデンウィークはとても心地よく庭で過ごしやすい良い季節です。皆様、素敵なお庭時間をお過ごし下さい。#バラ#シュラブ#オールドローズ#香水#香水原料#カザンリク#ロサダマスケナ#トリギンティペタラ#バスタイム#入浴効果#入浴剤#香りの庭#サスティナブルな楽しみ方#エコロジー#季緑園